指先サイズのPDトリガーを試してみる
PDトリガーというのは、USB PDに対応した電源(USB-ACアダプタやモバイルバッテリ)から任意の電圧を取り出すことができるデバイスのこと。最近ではPDデコイ(DECOY)などと呼ばれたりもするそうな。言い得て妙、な感じではあります。
このデバイスを使うことで、USB PDをさまざまな機器の電源として利用できるようになります。たとえば当ブログでも"DCプラグをUSB PD化してみる(実用編)"と題して、Bluetoothスピーカーの電源をUSB PD化するネタを紹介しました。
で、今回購入したのは、上記写真の2点。いずれも10mm×20mmほどしかない指先サイズとなっております。その小ささを示すため、左側のヤツは1円玉の上に乗せてみました。
機能や目的はほぼ同等な2製品で、左側は"PDC004"、右側は"ZYPDCH"と呼ばれます。もちろん、搭載チップや基板レイアウトも異なる訳ですが、出力電圧を決定する方法に大きな違いがあります。
"PDC004"は固定出力で、9V/12V/15V/20Vに対応した4つのモデルから選んで購入するという方式です。用途が決まっているなら、電圧を自分で設定する必要がなく、お手軽な感じ。
一方の"ZYPDCH"は可変電圧となっており、基板上の設定用端子をショートさせることで、5V/9V/12V/15V/20Vから任意の電圧が選べます。このため、購入後に用途を考える場合に便利だったりするかも。
どちらの製品にも共通した注意点として、出力電圧は元となるUSB PD電源に依存する、というのがります。たとえば5Vと9Vに対応したUSB PD電源に接続した場合、出力も5Vまたは9Vに限定されます。
PDトリガーが12V以上を要求したとしても、出力できない電圧であった場合にはどうすることもできません。試した訳ではありませんが、そうした状況の場合、USB PD電源が出力可能な電圧で12Vに近い9Vが出力されるようです。
電源に対する注意事項はもうひとつあります。USB PDでは(可変出力のPPSを除き)5V/9V/12V/15V/20Vあたりを出力できることになっています。が、モノによってサポート状況が異なります。
特に12Vが無視されることも多く、そうしたUSB PD電源の場合、PDトリガーを使っても12Vを取り出すことができません。たとえ20Vまで出力可能であったとしても、設定にない電圧は出力できない、という訳です。
なお、いずれの製品もUSB PDのPPSをサポートしていないので、電源側がPPSに対応していたとしても、出力できない電圧(上記例の場合で12V)は取り出せません。
そんなこんな、で届いた製品チェックを兼ねてテスターで出力を測定してみました。写真は"PDC004"を使ったときのモノ。
見てのとおり、きちんと12Vが出力されております。"ZYPDCH"はすべての設定用端子がオープンの場合20Vが出力されるようになっておりますが、こちらも問題ありませんでした。
ただ、いずれの製品も、テスターを繋いだ後にUSB Type-Cプラグを挿入すると、その一瞬だけ、電圧が安定しないような挙動が見られました。本当に電圧が乱れているのか、ノイズ等の影響を受けているのか、当方の環境ではチェックできないのが残念なところ。
入力電圧に敏感な機器の電源として使う場合には要検証な感じです。基板サイズが小さいので、対象機器に埋め込んで「USB PD対応なのだ!」なんてことも(頑張れば)できそうですが、現時点ではやらない方がよろしいかもしれません。
そうではなく、USB Type-Cケーブルにつなぐアタッチメント(またはアダプタ)として外付けするのであれば問題は回避できるかも。
つまり、USB PD電源とPDトリガーを先に接続しておいて、最後に対象機器の入力に接続する、という方式。これならば、電源接続時の怪しい挙動をパスできる、という訳です。
そんな感じの超小型PDトリガーでありました。いずれの製品もAliexpressにて購入しました。なお、リーベイツを通してAliexpressで買い物をすると楽天ポイントが付与されます。やっておいて損はないかと。
"PDC004"の方は国内でも取り扱うショップがあるようです。
***Edit***"PDC004"とほぼ同等の製品がAmazon.co.jpにありました。
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