【DT-811Z】トイレタンクのオーバーフロー管を交換してみる
とある日のこと、何かの用事でトイレ方面に向かったのですが、どこからかジョロジョロと水の流れる音が。直感的にトイレのトラブルであることを理解し、慌てて止水栓を締めて対処しました。
気持ちを落ち着けてからトイレタンクの蓋を開けて中を除いてみると、水をせき止めるためのフロートゴム球が正しい位置に収まっておりません。
状況をくわしく観察してみると、フロートゴム球の中心から生えているはずの案内棒がありません。経年劣化により、根本から取れてしまったようです。
この案内棒とガイド穴によってフロートゴム球は上下動のみに制限されます。レバー操作により浮き上がったフロートゴム球は、タンク内の水が排出されることで元の位置に正しく収まります。
けれども、案内棒がなければフロートゴム球が正しい位置に収まらず、水をせき止めることができなくなります。で、水が流れっぱなしになると。
状況がクリアになったので、次は対策です。やることは明快で、フロートゴム球を新しいモノに交換するだけ。
ではありますが、他の部分の経年劣化も考え、オーバーフロー管やらフロート弁など、周辺パーツ一式を交換することとします。
パーツを取り寄せる
ウチのトイレには"INAX(現LIXIL) DT-811Z"という型番のトイレタンクが使用されております。便器自体には別の型番があるので、パーツなどを調べる際にはご注意を。
なお、ご自身で作業する場合、パーツの型番や構造の確認、修理方法などを知るのに便利な"INAX トイレメンテナンスブック"のPDFをダウンロードしておくことをオススメします。
上記冊子によると、必要なのはオーバーフロー管/フロート弁/フロートゴム球がセットになった"密結ロータンク用フロート弁 TF-811C(250)"です。
ただ、DT-811Zのように古い製品の場合、ゴム製パーツの劣化は確定事項であり、パッキン類の交換も実施したいところ。
どのみち、作業の流れでタンクは外すので、そのついでに交換するだけです。作業手順は変わりません。
そんな訳で、タンク固定用ネジ(とOリング/ナット/ワッシャー)、およびタンクと本体の間に入れて水漏れを防ぐ"密結パッキン TF-800G-B"も取り寄せます。
これらをどこで入手するか? ですが、とりあえずAmazon.co.jpで調べてみました。ちょうどネジ一式と密結パッキンのセットがあり、これをカートへ。
続いてはオーバーフロー管一式ですが、Amazon.co.jpには"TF-811C(240)"しかありません。DT-811Zの最適品は"TF-811C(250)"。
その違いは、オーバーフロー管の長さにあります。型番の末尾にある数字が長さを示しているのですが、Amazon.co.jpで買えるのは、"TF-811C(250)"よりも10mmほど短いのです。
最悪、水位調整でどうにかなりそうな気配なので、"TF-811C(240)"を購入することにします。
場合によっては工具も必要です
タンクと便器を固定するネジ&ナットの着脱には、モンキーレンチまたはスパナ(メガネレンチ)があればOKなのですが、タンクからオーバーフロー管を外すためには、80mm程もある締付ナットを回せる工具が必要となります。
それが可能な工具は、ウォーターポンププライヤーまたはパイプレンチ。どちらもAmazon.co.jpなら取り扱いはありますが、今回はパイプレンチを購入することに。
モノはこちら。最大口開きが85mmなので、オーバーフロー管の締付ナットもOKです。本体はアルミ製なので、若干軽くて錆びないのも良い点。
上記以外に必要なモノ、あると便利なモノをリストアップしておきます。
メガネレンチ13mm(スパナ/モンキーレンチで代用可)
タンクに便器を固定するネジ(のナット)で使用します。また、そのネジをタンクから外す場合にも使います。手探りな作業もあるので、スパナよりもメガネレンチ推奨です。
モンキーレンチ(スパナ23mmで代用可)
給水管をタンクに固定する袋ナットで使用します。ちょっと大きめサイズなので当方はモンキーレンチを使用しました。
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排水後にタンク内の底に残った水を吸い出すために使います。水を吸うスポンジならキッチン用でも何でもOK。汚れるので使い捨て推奨。
バケツ(オプション)
上記作業で水を貯めるために使用します。少々水が飛び散ったりしますが、吸い取った水を便器内に捨てる方式でもイケます。
雑巾(大/小各種)
どうしても水が飛び散るので、その拭き取り用。あと、劣化したゴムで手が黒くなったりするので、その拭き取り用に。
タオル
汗拭き用。狭い場所での力仕事なので、真冬でもめっちゃ汗かきます。
実際の作業の勘所
止水栓が完全に締まっているのを確認し、タンクから給水管を外します。給水管内の水が出てきたりするので、雑巾のスタンバイを忘れずに。
タンクを固定しているナットは、便器を挟んだタンクの真下にあり、非常に見づらい場所です。特に狭いトイレではアクロバチックな体勢での作業が求められるかも。なので、手探りでも作業しやすいメガネレンチの使用を推奨します。
そのナットを外したらタンクを分離できるようになります。が、密結パッキンが固着していたりして、簡単には持ち上げられないかも。また、タンクだけでも驚くほど重いので、腰を痛めないよう注意しましょう。
無事タンクが外せたら、便器側に密結パッキンのカスがこびりついていないかチェックします。もちろん、発見したらキレイに除去します。
タンクからオーバーフロー管を外すためには、締付ナットを外さなければなりません。が、ここにも密結パッキンが固着していたりするので、パイプレンチではさめるレベルになるまでカスを除去します。
また、オーバーフロー管の締付ナットを外す際には、タンク固定用のネジ(左右各1本)を外した方が快適に作業できます。逆に、組立時にはオーバーフロー管を取り付けてからネジをタンクに固定するようにします。
交換作業が完了したら、タンクの真下付近にキッチンペーパーを敷き詰め、水漏れがあったらすぐに発見できるようにするのがオススメです。
オーバーフロー管の型番違いに関して
最適品よりも10mm程短い"TF-811C(240)"のオーバーフロー管ですが、通常使用で水があふれることはありませんでした。
交換後、水位調整せずタンクに水を貯めたところ、オーバーフロー管にプリントされたWL(Water Line?)マーカーにピッタリと一致。なので、水位的にも全然問題ありません。
ということでDT-811Z用としては"TF-811C(240)"でも代用可です。もちろん最適品が手に入るなら、そちらがベストではありますが。
まとめ:自分でやれば確かに安上がりだけど...
例えば、今回の作業を業者に依頼すると、15,000円~25,000円程の費用がかかるのだとか。昨今の物価事情だともう少し高くなっているかもしれません。
自分でやると8,452円(今回購入したパーツ代金)。高いと見るか安いと見るか微妙な線ではありますが、やりたくてやったので個人的には満足しています。
ただ、結構な力仕事だし、作業の不備による水漏れも怖いし、ネジの締め付けトルクも気になります。そんな訳で、素人にはハードル高めな作業であることも確かです。
オーバーフロー管の交換なんて10年に1回あるかないかの話になるので、割り切って業者に依頼しちゃうのもひとつの方法です。
そんな風に感じた、オーバーフロー管交換の顛末でした。本稿が誰かの何かに役立ちましたなら幸いです。
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