aptX Low LatencyとLC3の遅延を比べてみる
ちゃんとした規格モノで低遅延なコーデックと言えば、aptX LL(aptX Low Latency)一択でした(当方の個人的感想)。
数年前になりますが、次世代規格Bluetooth LE Audioと共に、新しいコーデックであるLC3が登場しました。どうやら低ビットレートでも音質が良く、しかも低遅延なのだとか。
が、待てど暮らせどLE Audioは普及せず、今に至っても互換性の問題などを抱えた状態。ではあるものの、使用機材を吟味すればきちんと動作するレベルにはなっているようです。
ということで、aptX LLとLC3の遅延がどれくらいなのか比較してみることに。比較はあくまで遅延のみであり、音質には言及しません。
テスト環境の紹介など
トランスミッター(送信機)には、eppfunのAK3040Pro MAXを使用しました。メジャーどころのコーデックが網羅されており、LC3はもちろんaptX LLにも対応しております。
入手性もよろしく、Amazon.co.jpあたりで購入可能。Aliexpress(例えばこの辺)から購入しても技適マークは付いているので、少しでも安く買いたい方にはオススメです。ただし、時間はかかります。
お次は受信側。aptX LLに対応したレシーバーとして、廃盤になって久しいInateckのBR1008を使用しました。流石にLC3には対応していないので、それは別に調達することに。
で、LC3のレシーバーとして用意したのがFiioのBTR17。もちろん、LC3の低遅延モードにも対応しております。さらに、接続コーデックを視覚的に表示してくれるため、実験用としては最適だったりします。音質に関しては(当方にとって)オーバースペックではあるのですが。
プラットフォームにはWindows11を搭載したAMDベースのPCを使用しました。計測用ソフトには、Webブラウザで完結する"オーディオ遅延測定ツール"を使用させていただきました。
使い方や仕組みなどの話は、上記リンクをご参照ください。
ということで実測など
まずは、マイク付きイヤホンをPCに接続し、素のシステム遅延を計測してみました。いわゆる参考値ではあるのですが、有線接続でもこのぐらいの遅延はある、という程度に見ていただけますれば。
続いては、aptX LLによる無線接続。遅延は24msでした。遅延算出方式には÷2方式を採用しているので、ざっくりとした数字となります。
素のシステム遅延も計測済みなので、表示された遅延を往復の値に戻し(×2)、素のシステム遅延を引けば(-10ms)、純粋なコーデックのみの遅延を算出できます。
例えば今回の場合、24ms×2-10ms=38msがaptX LLの純粋な遅延となります。この計算は、後に続くLC3の結果にも適用できます。が、本稿では÷2方式のままで語らせていただきます。
お次は期待のLC3。ですが、まずは高音質モードから計測してみました。結果は64ms。音ゲーには厳しめの値ではありますが、動画視聴のリップシンク的には不自然さを感じさせないレベルと言えます。動画も音楽もカジュアルゲームも、というユーザにオススメ。
そして最後はLC3の低遅延モード。遅延は24msでした。噂には聞いておりましたが、ここまで来るとは想像しておりませんでした。個人的にaptX LL推しってのもあるのですが。
ちなみに、AK3040Pro MAXのボタンを押してコーデックを低遅延モードに切り替えると、BTR17のディスプレイには"aptX-LT"と表示されます。
aptX Liteというのが通り名らしいのですが、こいつがまた謎規格。どうやら正式名称でもないらしく、個人的にはLC3にGmapというゲーミングプロファイルを適用したモノがBTR17ではそのように表示されるのでは? と考えております。
まとめ:LC3の遅延はaptX LLレベルだけど...
今回、ウチで計測した限りの感想ですが、まずはLC3の低遅延モードがaptX LLの代替環境になりそうで安心しました。
ただし、LC3はまだ成熟途中であり、例えばMediaTekとQualcommのようにBluetoothチップが異なると接続できなかったり、同じメーカーのチップ同士でも相性の問題で使えなかったりといろいろ問題があります。
その点、aptX LLには一日の長があり、対応製品であれば問題なく安定的に使用できます。ただ、今後は右肩下がりで終演を迎えそうな危うさもあったり。
Qualcomm的には、低遅延モードを持つaptX AdaptiveをaptX LLの後釜に据えたいような雰囲気ですが、遅延だけに注目するとaptX LLには及ばないし。
安定するけど終わりが近そうなaptX LLを選ぶか、不具合を飲み込んで先進のLC3を選ぶか。いずれにせよ、低遅延を求めるユーザには厳しい時期なのかもしれません。





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