QC2.0/3.0なモバイルバッテリを12V電源として使ってみる
同社製のSoCを搭載したデバイスのみで使用可能な技術であり、非対応機種のユーザとしては特別気にかけることもありませんでした。
が、ある日のこと「QCの12V出力を汎用的に使えたらモバイルバッテリがもっと便利に使えるかも」ってなことを発想。QC対応の電源から任意の電圧を取り出すことができるトリガーデバイスを使えば、とりあえずはなんとかなりそうです。
トリガーデバイスは、その機能のみを実装したハードウェア(基板)であることもありますし、USBの電圧/電流チェッカーに機能が内蔵されていることもあります。今回は、QCはもちろんUSB PDのトリガーも内蔵した高機能USB電圧・電流チェッカーである"Kotomi Pro"を使ってみます。
冒頭の写真がその実験風景。手元にあったQC対応のモバイルバッテリである"ZMI QB820"を使って12Vを出力してみました。ちなみに、赤い基板のUSB電子負荷装置は、モバイルバッテリの自動OFF機能が働かないよう、一定の負荷をかけるために接続しています。
当たり前の話ではありますが、実験的にはまったく問題ナシ。普通に12Vを出力させることができました。が、このモバイルバッテリの場合、12V出力時の最大電流は1.5Aとなっており、汎用的な電源としては少々力不足な感じ。もう少し、パワーが欲しいところです。
USB-ACアダプタでは、3A程度の出力が可能だったりするようですが、モバイルバッテリの多くは1.5A止まり。調べてみると、Ankerの"PowerCore Speed 10000 QC"は12V時でも2Aの出力が可能であるらしく、サクッと手配してみました。
そんなこんなでモノが届きましたので、基本的なチェックなど。まず、外観ですがひとめでわかる樹脂感があります。ただ、梨地仕上げとなっており指紋などが目立ちにくいのはよろしい点。インジケータには青色LEDが採用されております。眩しくはありませんが、個人的には白色LEDの方がよかったかなぁと思ったり。
出力用ポートはQC3.0に対応しており、もちろんQC2.0とも互換性があります。今回のように本来の目的とは違う使い方をする場合、0.2V刻みで電圧を変更できるQC3.0よりも、5V/9V/12V/(20V)が決め打ちできるQC2.0の方が便利だったりします。
入力用ポートはUSB micro Bで、QCには非対応。ちょっと残念な点です。が、2Aでの入力が可能なため、一昔前のモバイルバッテリよりは高速に充電できるかと。
続いて出力をチェックしてみます。今回の目的である12Vを"PowerCore Speed 10000 QC"の仕様の上限である2Aで出力。とりあえず問題はなさそうな雰囲気です。
ちなみに2.2A辺りまで電流値を上げたところでリセットが働き、強制的に5V出力へと戻されました。ということで、次は実践編。
用意したのは、DC12Vで動作する自作の17インチモニタ。接続形態としては実験のそれとほぼ同じで、"PowerCore Speed 10000 QC"に"Kotomi Pro"を接続して、そのアウトプットにUSB-DCなケーブルを接続。そのDCプラグをモニタの電源ジャックに接続すれば完成です。
で、HDMIケーブルを接続すると画面を表示させることができました。予定していたとおりの動作とはいえ、本当に動くのを見ると軽い感動を覚えます。使用時の消費電力は、12.2V@1.1Aで約13.4W。1時間ほど使用してみましたが、約16Whが消費されました。
"PowerCore Speed 10000 QC"の容量としては36Whなので、2時間ぐらいは使えそうな雰囲気です。LEDインジケータも2つ消え、50%消費した状態を示しておりましたので、計算に間違いはなさそう。
バッテリを触ってみてもほのかに温かい程度の発熱となっており、無理をしている感じもありません。ということで、消費電力が13W付近で安定した機器であれば問題なく動作するようです。
常用するには稼働時間的に難しい感じですが、例えば停電時などのバックアップ電源として、あるいは電源のない場所で使用する必要が生じた場合などで便利に使えるかもしれません。
今回は12Vに限定したお話でしたが、QC2.0では9V出力も用意されており、同様に利用できます。しかも、9Vなら出力電流も少し増えるため、より多くの機器で利用可能になる可能性があります。
最後にトリガーデバイスの入手に関してですが、ハードウェアタイプのヤツがAmazon.co.jpで購入可能。が、海外通販がOKならば数百円で買えたりしますので、こちらを利用するのもよろしいかと思われます。
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