真aptX Low Latencyを試してみる
このままではどうにも釈然としないので、もう少し追試してみることに。漠然と、ではありますがセットに含まれるBluetoothトランスミッター(送信機)である"LBT-AT02"があやしいような気がします。
まずはこの辺からチェックしてみましょう。その方法ですが、ヘッドホンはそのまま使い、トランスミッターを"aptX Low Latency"に対応した別の製品で試してみれば明確になるハズです。ということで用意したのがハンファQセルズジャパンの"HS-BMT001"。
"LBT-AT02"と同様、この"HS-BMT001"にもスプリッタ機能が用意されており、ペアリングした2台のBluetoothデバイスに同じデータを送信できます。この機能により、2人でサイレントにテレビが楽しめたりする訳です。
また、バッテリは搭載されておらず、電源としてUSBのバスパワーを使用するのも類似点。使い勝手がほとんど同じであるため、システム構成的には単純にリプレースすることができます。
で、このアイテム、製品の詳細を見ても、直販ショップの説明を見ても、そんなことは一言も書いてありませんが、実は"aptX Low Latency"対応製品であるらしいとの噂が。その辺の確認も兼ねてサクッとオーダーしてみました。
実際にモノを確認してみると、ウラには燦然と輝く技適マーク...ではなくLow LatencyバージョンのaptXに対応した製品であることを示す専用ロゴがありました。とりあえずは一安心といった感じ。
期待に胸を膨らませつつサクッとセットアップを完了させ、Bluetooth経由の音とテレビの音を同時に流す方式で遅延をチェックしてみました。
前回試した"LBT-AT02"との組み合わせでは、はっきりと遅延を確認できました。Bluetooth経由の音が少し遅れて聞こえるため、テレビの音声と重なって言葉の輪唱状態となり、聞くに堪えません。
"HS-BMT001"との組み合わせでも、注意すれば僅かな遅延を確認できます。が、気持ち悪さを感じるほどではなく、そのまま聞き続けることも可能。これはなかなかに良い感じです。
ということで、前回と同じく遅延時間を計測してみることに。方法自体はまったく同じで、ひとつのモノラルソースを2つに分け、Bluetoothとケーブルで伝送。それぞれをL/RチャネルとしてPCに入力して録音する、というモノです。
その結果がこちら。遅延時間はなんと29ms。これこそが"aptX Low Latency"の真の実力といえるでしょう。
ニュースやドラマの視聴において、192msもの遅延があると口の動きと音声に微妙な時間差が生じるため少々の不自然さを感じますが、29msでは遅延を認識することの方が難しくなります。
また、ゲームを楽しむ場合で考えてみると、60fpsで約2フレーム分ほど音声が遅れることとなります。卓越した視力・聴力・情報処理能力を兼ね備えたスーパーゲーマーでもない限り、操作に影響することはなさそう。
もちろん、普段のテレビ視聴においても遅延が気になることはなく、コンテンツに集中することができます。これはもう、Bluetoothでテレビ音声をワイヤレス化する際の必須技術であるといっても過言ではありません。
さて、これでヘッドホンに問題がないことは確認できました。そうなると"aptX Low Latency"が機能しなかったのは"LBT-AT02"が原因である可能性が高くなります。決定的な証拠はないものの、状況的には限りなくクロに近い感じ。
そんな疑惑を持ったまま製品ページを読み直してみると、同梱の"LBT-AT02"がLow Latency対応であるとはどこにも書いてありません。逆に非対応であるとも書いてませんが。
当初「このセットを使えば"aptX Low Latency"で遅延のない音が楽しめる」と認識していたのですが、実は「"aptX Low Latency"を使用するためには対応トランスミッターを別途用意する必要がある」と読み取るのが正解だったのでしょうか?
思い込みによる勘違いか、ミスリードにハマったのか定かではありませんが、少なくとも不親切な説明であることは間違いありません。なので、製品に興味のある方にはくれぐれもご注意くだされ。
とはいえ、"aptX Low Latency"に対応したヘッドホンとしてはお値打ち感が高い製品であるのも事実。しかも"HS-BMT001"と組み合わせることで、素晴らしく低遅延な環境を、比較的リーズナブルに構築することができます。
ちなみにその"HS-BMT001"ですが、楽天市場ならこんな感じ、Amazon.co.jpならこんな感じで販売されております。もし、トランスミッターの買い換えが前提なら、ヘッドホン単品の"LBT-AVOH03ABK"を選択するのもよろしいのではないかと思われます。
コメント
中に入っているチップセットの型番を調べてみれば、
APT-X LL に対応しているか、わかると思いますよ。
その気になったら調べてみようと思います。