ゆで卵の伝熱シミュレーターを試してみる
ゆでる時間が短ければユルユルな感じとなり、長ければパサパサになるだけ。いずれにしても食べられない訳ではありません。
なので、いつもテキトーな感じで作っているのですが、茹で時間を調整することで仕上がりをコントロールすることもできます。
本来、それを実行するためには豊富な経験と知識が必要となりますが、あらかじめ結果を知っているならばその限りではありません。先に結果がわかるというのも変な話ではありますが、先日公開された"ゆで卵の伝熱シミュレーター"を使えば可能となります。
これは、卵の温度、直径、そして調理場所の標高という3つのパラメータを入力することで、目的とするゆで卵の仕上がり時間を知ることができるプログラム。Webブラウザ上で実行できるようになっており、さまざまな環境で使用することができます。伝熱工学的な説明に関してはこちらをご参照くだされ。
各パラメータですが、温度に関しては、冷蔵庫で保存されていたなら5℃、常温保存であれば20℃など目安があるため、計測せずともテキトーな感じで設定できます。大真面目にやるなら放射温度計を使って計測するのも良いでしょう。
サイズに関しては、卵のパッケージにてサイズ(S/M/L)を確認してそのアイコンをクリックすればOK。もちろん、厳密にやりたいのであればノギスなどで計測して入力することもできます。
標高に関しては、スマートフォンのGPSを使うのが簡単。例えば"GPS Status"というAndroidアプリを使用すれば、ひとめで現在地の標高を知ることができます。また、Google MapsのAPIを利用して標高を知ることができるサービスもあったりするので、これを利用するのもひとつの方法です。
パラメータの設定が完了したら、あとは"シミュレーション開始"ボタンをクリックするだけ。
シミュレーションの進行具合は、卵を輪切りにした状態のグラフィックで表示され、時間経過によって熱が内部に浸透していく様子が伺えます。
これと連動して、ゆで卵の仕上がり状態を示す表も伸びて行きます。表が完全に表示されたらシミュレーションは完了。
あとは、好みのゆで具合となる時間を覚えるなりメモするなりして、そのとおりの時間だけゆでればOKです。
なお、シミュレーションの結果を正確に再現するためには、沸騰したお湯に入れて卵をゆでること。さらに、必要な時間だけゆでたら卵を取り出し、流水に45秒さらした後、氷水で冷やすこと。の2点が重要となります。
という訳で、実際に試してみました。卵は冷蔵庫にあったモノを使用し、温度は冷蔵庫に設置した温度計による庫内温度(4℃)であることにします。
パッケージによるとサイズはMだったのですが、一応ノギスで図ってみると約45mm。ということでMサイズで問題ないようです。標高に関しては、先の"GPS Status"で確認したところ約30mである様子。
これらのパラメータを設定してシミュレーションを実行してみると、上記画像のような結果となりました。肝心のゆで具合ですが、個人的には固ゆでが好きなのでミディアムを目標としてみます。
で、実際にできあがったのがこちら。狙ったのはミディアムだったのですが、しっかりとウェルダンになってしまいました。
食してみると、若干のしっとり感は残っており、予定よりも1段階進んだ状態となったようです。調理レシピに関しては厳密に守ったので、ミスがあったとするならパラメータの設定です。
ということで、条件を変えてもう一度実行してみることに。特にあやしいのが卵の初期温度。そこで、今度は卵を冷蔵庫から取り出し、一晩置いて常温に戻しました。念のためサイズと標高に関しても再確認。ちなみに、ゆで具合の目標は今回もミディアムとします。
その結果がこちら。やはりウェルダンになってしまいました。どうしたことかウチの環境ではシミュレーションどおりに事が進まない様子。
原因がわからないのは釈然としないモノがありますが、「システマティックにゆで卵を作る」という普段あまりしないコトを楽しめたので良しとしましょう。
何にせよ、ゆで卵を美味しくいただけるのは間違いないので、興味のある方はぜひ一度お試しあれ。
コメント
(http://www.food-scientist.com/ 管理人です)
見つけた結果、計算部分を見直した結果、
ロジック内での値の渡し方を間違えておりました(卵の半径が、入力値より小さく計算されておりました)
申し訳ございません。
修正しましたので、ぜひ修正版シミュレーターでの追実験、改めてお待ちしております。
確かにシミュレータ上での時間は短くなったのですが、実際にゆでてみるとやはりウェルダンな状態となりました。取り急ぎ結果のご報告まで。