ノートPCのHDDをSSHDに換装してみる
SSHDというのは、HDDにSSDが組み込まれたデバイス。容量あたりの単価が安いHDDと高速なアクセスを得意とするSSDのいいとこ取りな製品であります。
実際にオーダーしたのは、Seagateの"ST500LM000"というモデル。これには8GBのSSDが搭載されているのに加え、なにげに64MBものキャッシュが搭載されております。コストパフォーマンス的には1TBの製品を選ぶのが正解なのですが、絶対値として価格が安い500GBの方で妥協した次第で。
ただひとつ気がかりだったのは、これがAFT(Advanced Format Technology)対応製品であること。ウチではWindows Vistaなどという2世代(3世代?)も前のOSが搭載された古いノートPCを使っているため、現状ではAFTに対応しておりません。
が、昨今AFTが主流になっている雰囲気であるのに加え、非AFTのHDDは足元を見るかのように高価になっており、なんとかなると信じて見切り発車的に購入してみました。
非AFT環境からAFT環境に移行する場合、真っ先に行うべきなのはAHCIドライバのアップデートです。ここはお手軽に"インテル・ラピッド・ストレージ・テクノロジー"をインストールすればOK。
続いては現状システムのバックアップです。あまたあるバックアップ系ソフトの中には、AFTでの動作があやしいモノもあるのだとか。実際ウチで使用しているソフトがいまひとつな雰囲気だったため、"MiniTool Partition Wizard"のクローン作成機能を使用しました。
なお、非AFTなHDDからクローンを作成すると、パーティション開始オフセットもズレてしまいます。なので、仕上げとしてアライメント調整を実施。こちらの作業も先に使用した"MiniTool Partition Wizard"で対応できます。
これで万全、などと思っておったのですが、そうは問屋が卸しません。ウチではメールクライアントとして"Windows Live メール"を使用しているのですが、HDDの換装後にうまく動作してくれません。
起動はできるのですが、自分が作成したフォルダや受信メールが行方不明となり表示もされないという状態。当初はファイルのコピーに問題があったのだと考えていろいろやってみたのですが、一向に効果がありません。
よくよく調べてみると、"Windows Live メール"もAFTによって影響を受ける数少ないアプリケーションのひとつなのだとか。で、解決方法はこちら。
念のためオリジナルのHDDにパッチを当てた状態から始めるため、最初からやり直しです。時間はかかりましたが、問題は完全に解決しました。そんな訳で、"Windows Live メール"のユーザであれば、ドライバのアップデート後に上記パッチを当てておくことをお勧めします。
紆余曲折はあったもののHDDの換装は完了しました。ということで最後に使用感など。何はともあれ、HDDベンチマークテストの定番である"CrystalDiskMark"にて計測してみました。左側が換装前、右側が換装後の数値となっております。
特にベンチマーク向けのチューニングなどは実施しておらず、しかも1回ポッキリの計測なので、性能を示す指針としては不適ですが、少なくとも大きめのファイルを書き込む際には明確な効果があるようです。
ベンチマーク的にはパッとしませんが、実際のフィーリングはなかなかに良好です。例えばシステムの起動時間(ログインからスタートアップ起動ソフトのスプラッシュが消えるまで)は約1分50秒→約40秒と大幅に高速化。また、よく使うソフトの起動も高速化され、必要な時に素早く利用可能となります。
そもそもSSHDのSSDはキャッシュ用のストレージとして機能するようになっており、ここに入っているデータに関しては高速なアクセスを実現します。このため、小さなファイルの読み書きにはそれなりに効果を発揮しますが、キャッシュに入っていない、あるいは収まりきらないほどの巨大なファイルには効きません。
実際のオペレーションにおいてはそこそこの効果を体感できるSSHDですが、費用対効果を考えると微妙な線といえるかも。
ちなみに"ST500LM000"の価格は、楽天市場ではこんな感じ、Amazon.co.jpではこんな感じ
また、新たな仕組みは新たなトラブルの原因となる可能性もあったりするので、SSHDを導入する際にはその辺も考慮した方がよろしいかと思われます。と、そんなふうに感じたSSHD導入の顛末でありました。何かの参考になりますれば。
***Edit***
ST500LM000のファームウェアを更新してみました。興味のある方はこちらからどうぞ。
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